作業の様子
もう既に現場を封鎖している米兵たちの出で立ちを見ると、ふつうのつなぎの作業服を着ている連中に混じって、頭から足先まで銀色のスーツをまとった特殊防御服のようなものを着ている作業員が混じっていました。どこかで見たような出で立ちだなと思い、地下鉄サリン事件のことを思い出しました。辺りは、ケミカルな臭いが立ちこめています。この臭いが燃料の臭いなのか消化剤の臭いなのか、それとも他の何かの臭いなのか、素人の私には分かりません。有害なものでないことを祈りました。
街のあちらこちらに点在しているヘリコプターの破片周辺には、モスグリーンのつなぎを着た米兵たちがその回りを忙しそうに立ち回っていました。当初は、周辺にいた県警の警察官たちも、気がつくと米兵たちにとって代えられていました。どうにも合点がいきません。破片周辺の現場写真をデジタルカメラで撮っています。絶えず無線機で誰かと連絡をとっています。会話の端々にGPSという言葉が出てきます。おそらく、破片の位置をGPSで確認をして図か何かに落としているだと思います。
早くも落下したローターの回収が始まりました。トラックを横付けして荷台にローターを乗せ搬出していきます。日本の関係者は誰も現場検証をしていません。誰か人に当たっていたら、凶器になっていたものを現場検証もせずに持っていきます。むしろ、持っていっていい物なんだと米軍の行動の仕組みに驚きました。怪我人が出た場合、現場に居合わせた者が体を張って確保していなければ、凶器といえども米軍は回収をしていくということなのかと今さらながら理解をしました。
こうした行動が許される法的根拠は何なのだろうか?やはり地位協定なのでしょうか。もしそうだとすれば、こうした米軍の行動は、日本のどこでも許されるわけで、日本という国は、未だ占領下であるのかと思った次第です。もし仮に、日本という国が主権国家なのだとすれば、こうした米軍の暴挙を政府が許すはずがないと思うのです。小泉さんがこの現場にいたら、にこやかにこうした米軍の行動を許すのでしょうか。政府の首脳を直ぐ呼べと思ったのでした。
破片が飛び込み家の中がめちゃくちゃになった住民は言います。「誰に言えばいいの?!」と。確かに、被害を受けた住宅の現場には、米軍も県警も行政の関係者も誰もいません。被害を受けたという証拠を自分自身で保全をしなくてはいけないのでしょうか?被害の保証はしてもらえるのでしょうか?私たちの素人考えで言えば、明らかに米軍の所有物によって被害を被っているわけですから、米軍にうったえたいところとです。しかし、おそらく保証等の管轄は当然日本政府になるのでしょう。ともかく、一番危険な目にあった住民の現場には、関係者がいなかったということです。このことから、まず米軍の優先順位が分かります。一番に機体の確保、2番に情報の確保・・・。どちらにしても住民の安全確保という項目は存在しないようです。まあ、そんな意識があれば、元からこんな市街地に基地など作らないはずですが。
一方、日本の行政機関の対応についても、いろいろ考えさせられました。さすが、地元宜野湾市の市長である伊波氏は、墜落直後には直ぐに駆けつけ応対をしていました。国の関係者は期待うすにしても、住民の安全を確保しなくてはいけない県警などの対応は、どうなっているのでしょうか。確かに、地位協定や安保の壁はありますが、何か何でも住民の命の安全を守ることが最優先なのではないでしょうか。現場をあっさりと米軍の管理下へと移行させてしまうというのは、しかたがないことなのでしょうか。自分たちで仕切ると言い切ることができない構造になっているのでしょうか。現場に法律に明るい専門担当官をいつも用意しておくべきだと感じました。
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